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日食・月食の予測|サロス周期と食のしくみ

◇ 2026-09-09 公開 ◇ 雑学

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◆ この記事でわかること

日食と月食が毎月は起きないのは、月の軌道が太陽の通り道から約五度傾いているためです。太陽と月と交点の配置が十八年余りで繰り返すサロス周期を使えば、次の食の日付を予測できます。古代バビロニアや中国で天文学が国家機密とされた理由もあわせて解説します。

◆

食を当てる者

食を当てる者

もしあなたが異世界の宮廷に出入りする学者に転生したら。剣も魔法もなくても、人々を静まらせる力が一つあります。日食や月食を、前もって言い当てることです。空が欠ける日を知る者は、天と通じていると見なされました。今日は、食を予測するしくみと、それがなぜ国の機密だったのかを解説します。

日食と月食のちがい

日食と月食のちがい

まず二つの食のちがいから。日食は、太陽と地球のあいだに月が入り、月のかげが地球に落ちる現象で、かならず新月のときに起きます。月食は反対に、太陽と月のあいだに地球が入り、地球のかげが月をおおう現象で、こちらはかならず満月のときに起きます。

なぜ毎月は起きないのか

なぜ毎月は起きないのか

では、新月も満月も毎月あるのに、なぜ食は毎月起きないのか。理由は、月の通り道が、太陽の通り道に対しておよそ五度かたむいているからです。ふだんの新月は、太陽の少し上か下をすりぬけてしまう。二つの道が交わる点の近くで新月や満月になったときだけ、食が起こります。

食が起きる時期

食が起きる時期

その交わる点の方向に太陽が来る時期は、半年に一度ほどめぐってきます。これを食の季節とよびます。この前後の約一か月に、日食や月食がまとまって起こる。世界全体でみると、日食は一年に少なくとも二回、多い年には五回起きています。

月食のほうが当てやすい

同じ食でも、月食のほうがずっと予測に向いています。月食は、地球の夜側にいれば、どこからでも同じように見えるからです。いっぽう日食は、月のこい影が通る、幅のせまい帯の中でしか見えません。いつ起きるかを当てても、自分の土地で見えるとはかぎらないのです。

サロス周期

予測の心臓部が、サロスと呼ばれる周期です。十八年と十一日、それに八時間ほどたつと、太陽と月、そして交わる点の位置関係が、ほぼ元通りにそろいます。すると、前とよく似た食がふたたび起こる。この一巡りを知っていれば、次の食のおよその日がわかります。

八時間のずれの意味

八時間のずれの意味

注意したいのが、その八時間の端数です。八時間で地球はおよそ三分の一まわるので、次の食は、経度でいうと西へ百二十度ほどずれた土地で見えます。同じ地域でまた似た食を見るには、サロスを三回、およそ五十四年待つことになります。

予言の正体は観測台帳

サロスは、ひらめきではなく、地道な記録から見つかりました。古代バビロニアの人々は、月食の日付を何百年ぶんも粘土板に書きつづけた。その台帳を並べると、十八年ごとに同じならびがくり返すと気づいたのです。予言の正体は、過去の観測の積み重ねでした。

天文が国家機密だった理由

天文が国家機密だった理由

この知識は、やがて強力な政治の道具になりました。古代の中国では、暦をつくり天を読むのは皇帝だけに許された仕事で、食を当てることは、天から国を治める資格を認められた証とされた。予告しそこねた天文官が罰せられたという伝えも残ります。だから技術は宮廷が独占したのです。

実践編・宮廷でどう使うか

実践編・宮廷でどう使うか

ここからは実践編です。転生先でこの知識がいちばん効くのは、宮廷や神殿に天文の係として仕えるときです。まず、これから数十年ぶんの月食の日を書きつけて渡しておく。予告どおりに空が欠ければ、あなたの言葉は重みを持ちます。日食は、危ない時期だけを控えめに告げます。

ポイント

  • 天文係として宮廷や神殿に仕える
  • 月食の予告で信用を積む
  • 日食は危険な時期だけ控えめに

実践編・始めるのに要るもの

始めるには三つのものが要ります。ひとつ、過去に食が起きた日付の一覧。ふたつ、月の満ち欠けと、月が星座のどこにいるかを毎晩記録する習慣。みっつ、日付を正確に数えられる暦。古い食の記録がまったく無い土地では、まず自分で数十年ぶん観測をためる覚悟が要ります。

実践編・食の台帳をつくる

その世界での工夫は、シンプルな食の台帳を作ることです。月食が起きた日、時刻、月の位置を、一行ずつ書きためる。十年、二十年とためたら、十八年と十一日を足した先の日付を拾えば、次の月食のおよその日が出ます。日食は、同じ計算で出した日を、用心の窓として控えめに知らせます。

実践編・見込める効果と注意

効果の程度をはっきりさせます。月食なら、日付を数日のずれで、数十年先まで言い当てられます。日食も日付は出せますが、自分の土地で見えるかは、影の帯の位置しだいで保証できません。それと、太陽はぜったいに直接見ないこと。小さな穴を通して、影を板に映して観察します。

まとめ

まとめ

まとめます。食が毎月起きないのは、月の道が五度かたむいているから。十八年あまりのサロス周期を知れば、次の食が読めます。慣れたら、同じ月食の時刻を離れた二つの土地で記録し、経度の差を割り出す。これは正確な地図づくりの土台になります。予言の力は過去の記録から生まれ、だからこそ国は天文を手ばなしませんでした。

参考・出典