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三角測量のしくみ|基線と角度で地図を作る

◇ 2026-09-08 公開 ◇ 暦・数学

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◆ この記事でわかること

平らな土地で測った一本の基線と、その両端からの角度だけで、山や川を越えた広い範囲の距離が求められます。三角形が一辺と両端の角で決まる性質を使った三角測量のしくみ、三角網の広げ方、誤差の抑え方、地籍図や国土測量への応用までを解説します。

◆

歩かずに地図を作る

歩かずに地図を作る

もしあなたが異世界に転生して、領主から国じゅうの正確な地図を作れと命じられたら。歩いて距離を測って回るのでしょうか。それでは何十年かかっても終わりません。じつは、平らな土地でたった一本の線をきちんと測り、あとは角度をはかっていくだけで、山や川を越えた広い土地の地図が作れます。今日は三角測量のお話です。

直接は測れない距離

直接は測れない距離

地図づくりでいちばんむずかしいのは、遠くはなれた二つの場所の距離を知ることです。あいだに深い森や大きな川、けわしい山があれば、ひもや鎖をのばして直接はかることはできません。谷をはさんだ峰から峰まで、直接の物差しは通せない。ここで効いてくるのが、三角形の性質です。

三角形の決まり

三角形には便利な決まりがあります。一つの辺の長さと、その両はしの角度さえ分かれば、残りの二辺の長さも、頂点の位置も、ぜんぶ一通りに決まります。作図でも計算でも出せます。つまり、片方の辺だけ実際にはかって、あとは角度をはかれば、直接とどかない距離が分かるのです。

ポイント

  • 測るのは一辺の長さだけ
  • 両はしの角度をはかる
  • 残りは作図か計算で出る

基線をていねいに測る

基線をていねいに測る

そこで最初にやるのが、基線とよばれる一本の線を引くことです。できるだけ平らで見通しのきく土地を選び、その両はしのあいだの距離を、時間をかけて何度もはかります。木の物差しや金属の棒を、すきまなく並べていく。この一本だけは地図ぜんたいの精度を決めるので、けっして手を抜きません。

角度で遠くの距離を出す

基線が決まったら、遠くに目印を一つ選びます。とがった山の頂き、高い塔、大きな一本の木。基線の片はしに立って、基線の方向と、その目印への方向とのあいだの角度をはかります。もう片方のはしでも同じようにはかる。これで辺一つと角二つが決まり、目印までの距離が計算で出ます。

三角形を網の目につなぐ

一つの三角形が解けたら、その新しくわかった辺を、次の三角形の一辺として使えます。さっきの目印と、また別の遠くの目印を結んで、次の三角形。これをくり返すと、三角形が網の目のように連なって、国土ぜんたいを覆っていきます。実際にはかったのは、最初のたった一本の基線だけです。

誤差との付き合い方

注意点は、誤差がだんだんたまっていくことです。三角形をいくつも重ねるほど、小さな測りまちがいが積もります。だから網のはしまで来たら、そこでもう一本べつの基線を実際にはかり、計算で出た値とくらべます。ずれていれば網ぜんたいに散らして直す。細長すぎない、直角に近い三角形を選ぶのもこつです。

国家事業だった三角測量

三角測量は、しばしば国家の事業でした。十七世紀のはじめ、オランダのスネルという学者が、町から町へ三角形をつないで距離をはかります。フランスではカッシーニの一族が、百年ちかくかけて国土全体の地図を仕上げました。十九世紀インドの大三角測量は七十年ちかくつづき、そのなかでエベレスト山の高さも求められました。

実践編・どんな立場で活きるか

実践編・どんな立場で活きるか

ここからは実践編です。正確な地図は、その世界では立派な戦略物資です。領主は、どこにどれだけの畑があるか分かれば、公平に税をかけられます。軍は、行軍の日数や大砲のとどく範囲が読めます。国境をめぐる争いも、地図の上の一本の線で決着することがあります。だから地図を作れる者は、重く用いられます。

実践編・始める条件と道具

始めるのに要るものを挙げます。まず、基線を引ける平らで開けた土地。次に、角度をはかる道具。目盛り板に照準をつけた平板や、精密なものなら経緯儀とよばれる器具です。それから、遠くから見える目印。教会の塔や山の頂きが向きます。最後に、はかった値をていねいに書きとめる帳面。この四つがあれば始められます。

実践編・工夫と効き目

あるもので工夫できます。高価な経緯儀がなくても、平板測量なら、板と紙と定規で三角形をそのまま描いていけます。目印は、わざわざ櫓を建てなくても、町ごとの教会の塔がそのまま使えます。精度の目安はこうです。歩測や目分量では十キロで数百メートルはずれますが、平板測量なら数十メートル、経緯儀を使えば十メートルを切ることもできます。

実践編・次の一手

うまく測れるようになったら、次の一手です。まず高さ。水平からの角度も一緒にはかれば、山の高さや土地の起伏が分かり、等高線の入った地図が作れます。次に、方眼を引いて土地一区画ごとの境を落とせば、税や売買に使える地籍図になります。その先には、国じゅうの座標を一つにそろえる大仕事が待っています。

まとめ

まとめ

まとめます。三角形は、一辺と両はしの角が決まれば、すべてが決まります。だから平らな土地で一本の基線だけをていねいにはかり、あとは角度をつないでいけば、山や川を越えた地図が作れます。実際に歩いてはかるのは、最初の一本だけ。国土をかたどる骨組みは、角度と計算でできています。

参考・出典