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端境期の食料不足をなくす方法|三圃制と根菜の3年計画

◇ 2026-09-10 公開 ◇ 食料

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◆ この記事でわかること

秋に一度しか収穫できない村で、冬明けの二か月だけ食料が尽きる。買い付けも領主の援助も使えない条件のもと、検地と台帳、種の保存、救荒食、三圃制、冬の根菜を組み合わせ、三年で飢える月をゼロにする手順を解説する。

◆

あなたは飢える村の顔役になった

あなたは飢える村の顔役になった

あなたは、痩せた土地の小さな村で顔役に選ばれました。村人は二百四十人。毎年、冬が明けてから次の収穫までのおよそ二か月間、この村では食べ物が尽きます。買い足す金はなく、領主は隣の領との小競り合いで手いっぱいです。与えられたのは、この土地と、この人手だけ。三年で、飢える二か月をゼロにできるでしょうか。今日はこの問題を、一緒に解いていきます。

舞台は内陸の痩せた村

舞台は内陸の痩せた村

舞台は海から遠い内陸の村です。畑の土は砂まじりで痩せていて、長雨が続くと養分が流れ出します。雪は年に三か月ほど積もり、よそへ出る街道は冬のあいだ閉じてしまいます。作れるのは秋にまいて翌年に育つ麦だけで、刈り入れは秋のはじめの一度きり。川は細く、粉ひきの水車を回すのがやっとという土地です。

ポイント

  • 収穫は年に一度、秋だけ
  • 土は痩せ、雪は3か月
  • 冬は街道が閉じる

四十八戸と、家畜と、共有の森

四十八戸と、家畜と、共有の森

村は四十八戸、およそ二百四十人。牛が十二頭、豚と羊が合わせて八十ほどいます。村のうしろには共有の森と放牧地があり、秋には豚にドングリを拾わせて太らせます。ところが晩秋に飼葉が尽きるので、その多くを潰して塩漬けにするのが毎年の習わしです。食事の中心はパンと粥。肉は冬の入り口だけのごちそうです。

今のやり方と、種として消える四分の一

畑は二つに分けて、片方を毎年休ませています。二圃制と呼ばれる、地力を休みで取り戻すやり方です。そして中世の畑の実力は、まいた種のおよそ三倍から四倍でした。つまり穫れた麦のうち四分の一ほどは、来年まく種として必ず取り置かねばなりません。村が食べられるのは、そこを引いた残りだけ。ここが効いてきます。

課題 飢える二か月をゼロにする

その食べられる分を数えると、村が食いつなげるのはおよそ十か月ぶんでした。残りの二か月、冬が明けた頃から次の刈り入れまでのあいだに、蓄えは底をつきます。古い蓄えと新しい収穫のあいだが空く、この時期が端境期です。達成条件をはっきり置きましょう。三年で、飢える月を二か月からゼロにする。これが今回の目標です。

禁じ手 買えない、頼れない、減らせない

ただし、使えない手が三つあります。ひとつ、食料の買い付け。村に現金はなく、麦を売って買い戻せば来年の種がその分減ります。ふたつ、領主への増援要請。隣の領との小競り合いが続いていて、蔵を開けてもらうのはまず望めません。みっつ、人減らし。働き手を追い出せば、来年の畑がもう回らなくなります。

ここで一度、止めて考えてみてください

ここで一度、止めて考えてみてください

ここで一度、動画を止めて考えてみてください。ヒントは三つ。ひとつ、足りないのは食べ物の総量だけではなく、それが手元に届く時期です。ふたつ、種と食料は同じ袋に入っていて、腹が減れば真っ先に食べられてしまいます。みっつ、冬を越せずに困っているのは、人だけではありません。思いついた手をコメントに書いてから、続きを見てください。

一手目 まず測って、書き出す

ここから回答例です。最初の一手は、検地と台帳の回でやった、測って記録する仕組みの応用です。どの家が畑をどれだけ持ち、蓄えが何か月分残り、いつ食べ尽くすのかを一冊に書き出します。数字が出てはじめて、足りないのは村全体ではなく特定の十五戸だと分かる。配る量も、貸す種の量も、揉めごとの裁きも、この帳面から決まります。

二手目 種だけは絶対に食べない

二手目 種だけは絶対に食べない

二手目は、種の保存と発芽率の回の応用です。飢えた村がまずやってしまうのが、種籾を食べることです。今日は生き延びられますが、来年は畑ごと死にます。よく乾かし、冷たく風の通る場所に、灰や籾殻とともに封じて置く。湿ると発芽率が落ちるので、まく前に少しだけ湿らせて芽が出るか試します。種袋には村の封をして、台帳と数を突き合わせます。

三手目 一年目は山野でしのぐ

三手目 一年目は山野でしのぐ

三手目は、救荒食と山野の食料の回の応用です。一年目の二か月は、まだ畑では埋められません。ドングリは砕いて水にさらし、あくを抜けば粉にできます。葛の根からは澱粉が取れ、春の若草も腹の足しになります。ただし山菜には有毒なそっくりの草があるので、確実に見分けられるものだけを採ること。この一手はあくまで時間稼ぎで、解決ではありません。

四手目 畑を二つではなく三つに割る

四手目が本命です。三圃制農法の回でやったとおり、畑を二つではなく三つに割ります。秋まきの麦、春まきの大麦や豆、そして休閑。この順に一年ずつ送っていきます。休ませる畑が半分から三分の一に減るので、作付けできる面積はおよそ三割増えます。しかも豆は土を肥やし、乾かせば端境期まで置いておける保存食にもなります。

五手目 冬の主役をカブに変える

五手目 冬の主役をカブに変える

五手目は、冬の飼料問題と根菜革命の回の応用です。休閑地や麦の刈り跡にカブを植えます。カブは晩秋に穫れて土や藁のなかで冬を越し、そのまま家畜の飼葉になります。潰す家畜が減れば、春に乳と肉が村に残る。人が食べることもできますし、家畜が生き延びれば厩肥も増えて、痩せた畑がゆっくりと肥えていきます。

順序 三年で何を先にやるか

順番が肝心です。一年目は台帳づくりと種の隔離、そして山野の採集で二か月をしのぎます。畑には手を付けず、まず現状を把握する年です。二年目に畑を三つへ割り替え、春の畑に豆と大麦をまき、刈り跡でカブを試します。三年目に厩肥が効きはじめ、豆とカブが蓄えに加わる。畑への手当ては、必ず一年遅れて効いてくると覚えておいてください。

効果 埋まるのは三年目

効果は控えめに見積もります。作付けが三割増え、そこに豆とカブが加わることで、食いつなげる月はおよそ十か月から十二か月へ。飢える二か月が埋まるのは、早くても三年目です。しかも天候の悪い年には、また足りなくなります。だから四年目からは、増えた分をそのまま食べずに蓄えへ回し、不作の年の備えにする番になります。

落とし穴と、別解の余地

落とし穴と、別解の余地

落とし穴もあります。畑の割り替えは村中の合意が要り、境目で必ず揉めます。カブを同じ場所で作り続ければ病気が出ますし、ドングリを採りすぎれば豚の餌が消えます。そして台帳が正確になるほど、領主に課税を増やす口実を与えることにもなる。別解もあるはずです。私の答えはあくまで一例です。あなたならどう解きますか。ぜひコメントで教えてください。

まとめ 急がば、まず台帳から

まとめ 急がば、まず台帳から

まとめます。課題は、秋に一度しか穫れないせいで冬明けの二か月が空くこと。打ち手は、測って配ること、種を守ること、山野でしのぐこと、畑を三つに割ること、そして冬の主役をカブに変えること。どれも一つでは足りず、順番に重ねてはじめて効きます。急がば、まず台帳から。数えることが、飢えを終わらせる最初の一歩になります。

参考・出典